中国革命を駆け抜けたアウトローたち―土匪と流氓の世界 (中公新書)

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抗日ドラマでおなじみ、匪賊を研究した本

著者の福本 勝清先生は全く自分の勉強不足で存じ上げなかったが、おもしろい研究をされているなと思い、過去の著作を調べてみた。

『中国革命への挽歌』亜紀書房 1992
『中国共産党外伝 歴史に涙する時 スーパー・エッセイ』蒼蒼社 1994
『中国革命を駆け抜けたアウトローたち 土匪と流氓の世界』中公新書 1998
『アジア的生産様式論争史 日本・中国・西欧における展開』社会評論社 2015
『マルクス主義と水の理論 アジア的生産様式論の新しき視座』社会評論社 2016

90年代は本書のような中国革命史の傍流を研究されていたようで近年の作品とはまた違う方面の著作である。

お勤めされている明治大学の教員データベースに過去の論文一覧もあるのでご一読されたい。

『 もう一つの長征―1935年前後の白区における中国共産党の挫折と再生』とか『 コンミューンの悲劇―中国革命根拠地の粛清運動史』のような面白そうな論文を書かれている、専門は中国の近現代史と経済史のようだ。

土匪と流氓

抗日ドラマを見ていると必ず出てくる「土匪」、簡単にいってみれば山賊、盗賊集団である。接頭語の「土」はカッペ、山猿といったある意味蔑称であるが、最近では田舎の下品な成金のことを「土豪」といったりするので中国に詳しい方なら聞いたことがあるかもしれない。

余談になるが以前、名古屋新栄の中国人向けの定食屋で「土匪鶏」なる料理を注文したのだが、ほとんど骨とその周辺のわずかな肉をピリ辛に2度揚げした料理で、それなりに美味しくいただいたのだが、どうみても土匪の下っ端料理で、モモとか胸肉を匪賊の頭目が平らげた後の残飯をなんとかしようとした料理が由来なのが見てとれ、匪賊の下っ端も大変だなと思った。

そして正義の味方八路軍の味方になったり、日本軍と結託したりと、この書に書いてある通りだなと改めて認識した。

立派な砦で会議中の匪賊の皆さん、抗日ドラマ『冒牌英雄 』より

「流氓」とはチンピラ、流れ者という意味であるが、中国ドラマを見ていると女性が男性に向かって「臭流氓!」となじる場面がトレンディドラマから宮廷ドラマにいたるまで登場するのだが、たいていは着替えを覗かれたとかおさわりされてしまったシーンが多いので、現代的な使い方としては「きゃー!痴漢!」ぐらいの使い方が多いようだ。

本書はそういった土匪、流氓といわれる人たちが激動の民国期をどのように生きていたのか、また、政治とどのようにかかわったのかを色々な人物のエピソードを交えながら解説している論文である。

読後感

はっきり言って疲れた、『仁義なき戦い』のような江湖の風雲史を期待して読み始めたのだが、文字数が多いのはもちろん、地域、年代が頻繁に変わり、偏差値40では全く頭に入らなかった。薄い新書版なのに途中、疲れて2週間ほどお休みをしたので読み終えるまで1か月もかかってしまった。それほど内容が濃いということである。

ただし、何らかのときに読み返すことがありそうなほど沢山の史料を紹介しているので、抗日ドラマ研究の役には立ちそうだ。

アマゾンマーケットプレイスの古本です

巻末付録の人物紹介、この字の小ささと内容の濃さにノックアウト

参考文献も膨大な量

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