警察ドラマ全盛期か?
ここのところ中国ドラマに関しての記事でよく書いているのだが、トンデモ抗日ドラマが政府に怒られた煽りを受け制作本数が減少気味。 その穴埋めというわけでもないだろうが、 警察ドラマ、人民解放軍ドラマの公開本数が一昔前に比べてかなり本数が増えている。 これも前に書いたかもしれないが、 習近平政権になってからの社会主義核心価値観を推進するのに 「警察」や「人民解放軍」というのはとても都合のよいアイコンであるからだろう。 日本では考えられないが、中国の公益コマーシャル(日本で言うところの AC)では、 地域の治安に貢献する警察官や 辺境地域に勤務する人民解放軍兵士の働きを取り上げ、まあヒーロー視している感がある。
もう一つのポイントがあるのだが、抗日ドラマ全盛期の頃は、日本でファミコンブームの時にあったようなクソゲー乱発と同じく、トンデモ抗日作品が多数製作された。ところが、抗日作品減少のうえ、政府の機関である警察や人民解放軍でトンデモ作品を作るわけにもいかず制作側はかなり苦労してそうだ。そのあたり、抗日ドラマよりも限られたフォーマットの中で内容が同じ感じになりそうなのだが、製作者たちはいろいろ脚本を工夫したり 撮影を工夫したりした結果、面白い作品も徐々に出始めている
登場人物紹介
登場人物ははっきり言ってかなり多い。 ただし正義の味方、警察側は数が少ないのでまだ分かりやすい。 逆に、悪役が多数出てくるので、よく見ていないと途中でこんがらがってしまう可能性がある。 悪役を整理すると地元平海市の麻薬組織と雲南系の麻薬組織、この二つが大物。ほかは他の事件やショボい事件で出てくる悪役なの数は多い、つながりはあったりするが、前述した麻薬組織が直接関係するわけではない。
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—————-悪とは言えない?謎——————————–
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麻薬組織と因縁の対決
7年前 主人公の赵鹏程は 上司と貼り込み捜査中、 麻薬組織の大物徐奎に銃撃され、上司が殉職してしまう。 この上司の殉職が 彼の心の傷となり重圧と戦いながら警察の職務を続けてきた。 上司の娘武薇は警察官となり彼の部下となる。徐奎の子分苟三の麻薬取引の現場をおさえるべく張り込みを続けるが、谭阳が割り込み苟三を逃してしまう、その谭阳を含む新人警官3人が赴任となり、赵鹏程は青年隊を組織し陣頭指揮に臨む。
イケメン新人警察官の成長
ドラマの軸は因縁のある麻薬組織との対決となっているが もう一つの宿として 新人として赴任した警察官 3人の若者の成長も描いている。このあたりは訓練訓練訓練訓練訓練訓練で成長する人民解放軍ドラマよりも、若者の心情や葛藤を深堀り出来ていると思う。
上司の 殉職 そして その娘との葛藤
父親の殉職の真相を知らない武薇は、麻薬組織の捜査を進めるうち父の殉職に関し赵鹏程が鍵を握っていることを知る。 高校生の頃から赵鹏程に憧れていた武薇は激しく葛藤する。
同時進行で弁護士 合金 赵鹏程に急接近。 刑事ドラマにありがちな朴念仁主人公 との恋愛エピソードも見ものだ。
いろいろな事件が発生して飽きさせない
このドラマは 中国警察でも 一般的な民警ではなく鉄道警察隊である。 ドラマを見ていてふと疑問に思ったのだが、鉄道警察隊といえども普通に街中まで出向くのが日本の鉄道警察隊と違うところだ。 なので、列車内、駅構内の犯罪だけではなく、 駅前、さらには港湾、街中 など捜査によって活動範囲がかなり広い。前に記事にした『莫斯科行动』でもロシア市内に潜入するので昔からの捜査領域なのだろう。 犯罪の種類も駅前でのダフ屋行為、寸借詐欺のようなしょぼい犯罪から、違法賭博、幼児誘拐など重大犯罪も手掛ける。 また、農民が家畜を連れ線路を横断するとか、線路の金具を屑鉄屋が闇商売するなど、中国らしい事件も出てくる。 でも、やはり最も中国らしい事件といえば幼児誘拐、そして人身販売というエピソードの段が中国らしいと感じた。
この辺りのエピソードの豊富さは今まで鑑賞した刑事ドラマに比べるとかなりバリエーションが多い、なので見ていても飽きさせない工夫となっており、筆者はこのドラマ、三日間かけて一気見してしまった。