衛星劇場で放映中の『少林問道』
昨年度中国で話題となった武侠ドラマ『少林問道』が1年ほど経て日本でも放映中。日本へ入ってくるスピードが年々早くなっている気がする、両国のメディア関係者においては人気作ならやはり日本でも売れると見込んでのことだろう。ならば大人気『抗日奇侠』をぜひ地上波ゴールデンタイムで流してほしいところだ。『少林問道』は武侠ドラマといいつつ、最後は全員過去のわだかまりを捨て倭寇と戦う「抗倭」ドラマだから何とかなりそうなもんだが、衛星劇場のサイトでは「倭寇」の「倭」の字が出てこないところをみると本格抗日ドラマ放映はやはり難しいのだろうか。
その『少林問道』で武将役をやっている人気俳優郭京飞 がこの抗日ドラマの主役を演じている。超人気というわけではないが着実にポジションを確保しているような俳優。そういえば以前国共内戦ドラマでも見かけたな。戦争もの、武侠もの、トレンディドラマと作品にあまり偏りがないのも実力があるからだろう。
登場人物紹介
主人公の郑少军はブルジョア出の国民党軍将校、上官にも平気で楯突く厄介者だが部下からは大きな信頼を得ている。国軍の内輪もめのとばっちりで部下を失い、国共合作で知り合った八路軍の元同級生杜鹃や姜隊長と行動するようになる。あとは父親が共産党を支援していたとかその辺はベタな展開なのであえて説明不要。
どちらかといえば日本軍の鈴木3兄弟のほうがキャラとしては面白い。偏執的権威主義の長兄、脳筋の真ん中、イケメンクールな末弟となっている。末弟が一番おいしい役だな。
なぜ、今更2014年の作品が……
この作品、実は2014年制作、2015年にごく一部の地上波地方ローカル局にて放映されただけで『抗倭侠侶』や『戒烟不戒酒』と同様、長らくお蔵入りとなっていたようだ。そこそこ人気のある俳優陣起用なのに惜しいところだが、抗日神劇バッシングや放映時間規制などで日の目をみなかったのであろう。そして2018年、例年抗日ドラマ大放映となる8月の戦勝から918(柳条湖事件)にかける時期にて放映されたのだ。とはいえ以前のように抗日ドラマ大放映シーズンとはならず、やはり新作抗日ドラマの放映は激減だ。
日本軍の陰謀、恐ろしい天使計画
抗日ドラマの日本軍の陰謀とくれば細菌兵器、財宝強奪、強制労働といったところが相場だが、このドラマの場合はちょっと趣向が違う。
石原将軍指揮下の「天使計画」と呼ばれる恐ろしい作戦は日本軍の飛行場建設計画だ。国軍が完全に制空権を失うので八路軍も阻止に動く。意外とマジメな計画なので拍子抜けだ。
度重なる失敗で石原将軍の叱責を受けた鈴木武仁は田舎の陣地に左遷、腹の収まらない鈴木武仁は勝手に特殊部隊を呼び、勝手に作戦行動に出る。関東軍の暴走だw。しまいには石原将軍を殺害し、司令官の座を手に入れるという暴虐ぶりにシビれてしまう。
イケてる敵キャラ、鈴木3兄弟の一番下、鈴木武雄と純子
鈴木武雄がカッコイイ、敵役なのに。中盤、武雄の婚約者純子が中国にやってくる。武雄に会うため情報部将校になったのだ。軍人になる以外は慰安婦にならないといけないらしい、アホか(笑)。あ、純子はスリム美人です、貧乳ともいう。武雄一途であんまり悪い人ではないのだが、周りの環境が悪すぎる。
はじめは兄武仁の言うことをきいていた武雄であったが郑少军とバトルするうちに、兄武仁がどうも変だと思うようになる。極めつけは婚約者純子が兄武仁に殺されてしまったことで完全に決別、しかし軍法会議送りとなり、その途中鈴木武仁の謀略で暗殺されてしまうのであった。